法教育:今年の展開・課題

 学生等を対象とする法教育活動の取り組みを行っている日本弁護士会連合会「市民のための法教育委員会」には,昨年から全国の全弁護士会から委員が選任されています。今年は全国の弁護士会にますます法教育の取り組みが拡大していくことが期待されます。札幌弁護士会でも,来年度に向けて様々な活動の展開を検討しています。

 札幌弁護士会では,平成13年から「司法改革推進本部第4部会(市民部会)」が法教育活動への取り組みを始めました。平成14年には学校教員との間で定期的な協議会が実施されるようになり,平成16年には法教育活動を担う専門委員会として「市民ネットワーク委員会」が設置されました。平成17年からは毎年高校生向けの法教育イベント「ジュニアロースクール札幌」を実施しており,平成22年の夏には初めて中高生向けの法教育イベント「法カフェ札幌」を開催しました。

 

 このように弁護士会では長期間にわたって法教育への継続的な取り組みをしてきましたが,まだ拡充・改善すべき点もあります。これまでの法教育活動は主に高校生を対象としてきましたが,小学生や中学生,更には成人向けの法教育活動についても取り組みを広げる必要があります。

 

 また「市民ネットワーク委員会」の設立当時には,未だ法教育の啓蒙モデル(法律の知識のない非専門家に対して専門家が知識を教える)の考え方が残っていたように思われますが,現在では,市民と専門家との間の熟議/対話という観点が重視されるべきように思います。(※)

 

 弁護士・弁護士会による法教育活動の学校教育現場への浸透もまだまだ不十分です。今年は弁護士会による法教育活動を紹介する広報誌のやPR用のビデオ制作・配付,ウェブサイトでの情報提供・動画配信などの実施についても準備・検討を進めています。

 

 今年も更なる法教育活動の充実に向けて様々な活動を展開していきたいと思いますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

※ 法教育における市民と専門家との間,あるいは市民間の熟議/対話のあり方を考えるに当たって,田村哲樹編『語る−熟議/対話の政治学(政治の発見第5巻)』(風行社,2010年)は参考になる1冊であると思います。