法律事務特別講座:刑事裁判傍聴

 2010年10月15日,「法律事務特別講座」を受講している札幌大学の学生5名と一緒に札幌地方裁判所に刑事裁判の傍聴に行ってきました。

 「法律事務特別講座」と北星大学短期大学部の「現代社会と法」では,毎年希望者による刑事裁判の傍聴を行っています。どちらの講義でも裁判傍聴はご好評をいただいているようです。今年度も両講義合同で複数の日程を設定していますので,都合のつく方はぜひ傍聴に行きましょう。

 さて,今日傍聴した事件は,ちょうど1回50分程度で刑事裁判の始まりから結審まで見られる事件でしたので,日程的には傍聴に適した事件でした。

 具体的な事件の内容についての紹介はここでは差し控えますが,今回傍聴した事件の被告人は刑務所出所直後の再犯であり,実刑で刑務所に行くことは免れないという事件でした。被告人にとって有利になるような事情は少なく,弁護人も弁護に苦労するような事件であったと思います。

 私が傍聴していて気になったのは,検察官が証拠として,被告人が前回の刑で服役していた刑務所からの回答を挙げていた点です。

 刑務所からの回答によれば,被告人は刑務所で再犯防止のための教育をサボることなく受講したということですが,刑務所を出ても社会的資源(社会に出てからまっとうに生活するために利用できる能力・資力や協力者)に乏しく,出所した後に再犯をすることが予想される状況であったということでした。

 検察側としては,この証拠をもって,「被告人は刑務所で教育を受けたにもかかわらず,懲りずにまた犯罪を繰り返したものでけしからん」,「ほら,やっぱり予想どおり犯罪を繰り返したではないか」と被告人を非難する意図だったのでしょうか。

 しかし,上記の証拠は,むしろ刑務所での矯正教育が失敗したことを示しているように思います。

 再犯が予想されるような被告人を,十分な支援もなく(被告人の話によると,出所後の心構えや注意点について話をされたのは,出所前の4日間位だけだったとのことです)出所させて,新たな犯罪・犯罪の被害者をつくり出してしまったということの責任は,被告人だけに帰されるべきものではないように思います。

 この点について傍聴した学生のみなさんがどう感じたかが気になりましたが,傍聴後には聞き忘れましたので,次回の授業で少し聞いてみたいなと思います。