法教育:「法の日」フェスタ報告

 2010年10月2日、弁護士会館クレオ(東京都千代田区霞が関)にて第51回「法の日」週間記念行事「法の日フェスタ~法を身近に感じてみよう」が実施されました。

 「法の日」フェスタは、10月1日の「法の日」を記念して実施されている行事です。裁判所、検察庁、弁護士会でそれぞれ学生・一般市民に向けたイベントを実施していますが、弁護士会では、日弁連会長・宇都宮健児弁護士による講演「弁護士を生きる」と、日弁連市民のための法教育委員会の企画による法教育模擬授業「ルールを守ること、よいルールを考えるを実施しました。

 宇都宮弁護士は、自分の生い立ちから、宇都宮弁護士のライフワークといえるサラ金・貧困問題への取り組みについてお話されました。以前にも札幌市内の中学校で宇都宮弁護士が講演された際に聴講したことがありますが、今回もサラ金・貧困の問題に長く取り組んで解決への道を切り開いてきた宇都宮弁護士ならではのお話であったと思います。おなじみの(?)サラ金による取り立ての様子の録音テープも聴かせてもらえました。

 法教育模擬授業では、東京学芸大学附属小金井小学校6年生のみなさんにご参加いただき、法教育委員会の村松謙弁護士が講師として公開授業を行いました。授業の内容は、掃除当番という小学生にとって身近な題材をテーマに「ルール」について考えてもらうものですが、「ルールを守ること、よいルールを考える」というタイトルからも分かるとおり、今ある「ルール」をただ守ることが良いことだというのではなく、なぜルールは守らなければならないとされるのか、守られるべき「良いルール」の条件はどのようなものかを考えるものです。授業計画は2時間構成で、村松弁護士は事前に小学校を訪問して1時間のプレ授業を実施して本番に臨みました。

 村松弁護士は法教育授業の経験も豊富とみえて、生徒から上手に発言を引き出しながらスムーズに授業を展開していました。参加した小学生のみなさんにも大変わかりやすく、ためになる授業であったと思います。大人数の観客に囲まれて緊張する場面であったにもかかわらず、積極的に発言をしてくれた小金井小学校のみなさんも大変立派でした。マイケル・サンデル教授の「Justice」の講義を思い起こさせるような模擬授業で、参加者のみなさんには理想的な法教育授業の一つのモデルを提示することができたのではないかと思います。

 授業終了後は、村松弁護士の授業を受けて、法教育委員会副委員長の根本信義弁護士と私でまとめの話をさせて頂きました。参加していただいたみなさんに少しでも法教育の意義・重要性を理解していただき、学校現場など身の回りに法教育の精神を広めていただくことができれば幸いです。

【追記】質疑応答では,家庭における法教育について質問が出ました。小学生の保護者の方も参観されておりましたので,ちょうどよい質問であったと思います。しかし,簡単ではなく難しい問題です。

 家庭と法の関係については「法は家庭に入らず」という法諺(ほうげん)もありますが,法が家庭という領域から完全に排除されるものではなく,家庭内での出来事であってもその事由によっては(例えば重大な暴力・傷害事件など)法が介入すべきことは当然です。他方で,法の名の下に各家庭における家庭教育の内容・あり方について広く介入することも適切ではないと思います。そのような教育内容への介入は,何か特定の生き方・育ち方を善しとする考え方に基づいて行われる可能性が高く,親・子の個人としての尊重を損なうことになります。もっとも,親による家庭教育を尊重することと,子どもを個人として尊重することは常に一致するものではなく,ときに対立関係に立つこともあり得ます。

 以上のような問題については更に深く考える必要がありますが,質問に対する応答としては,家庭内でのきまりやルール作りというようなことを法教育が直接的に求めているのではなく,法教育の観点から何か望むとすれば,そのようなきまりやルールの「理由」を考えることを実践して欲しいということを申し上げました。日頃からこのような実践がなされるならば,家庭は重要な法教育の場となることと思います。

 フェスタ終了後の懇親会でも短時間ながら各地の法教育委員の方々と情報・意見を交換することができて大変有益であり、また、元気をいただきました。札幌でも更に法教育の取り組みを加速していきたいと思います。

※模擬授業の内容については橋本康弘先生のブログに詳しく説明されておりますのでご覧ください。

http://yhasimot.exblog.jp/14136005/

 

※村松謙弁護士のブログにも報告がアップされました。

http://yaplog.jp/teng/